看護師の職場と言うと、病院や私が勤めていたようなクリニックが真っ先に思い浮かびます。
あまりイメージがない方が多いと思いますが、看護師の職場としてはこれ以外にも、保育所・介護施設・厚生労働省などがあります。
この記事では、それぞれの特徴をご紹介します。
保育所・介護施設での勤務
これらの施設は身体的な健康が不安定な幼児・ご老人が入園・入居しており、看護師の活躍が期待される場所となっています。
保育所で働く看護師
近年、共働き家庭は増加し続けており保育所は大きな需要があります。
入園待ち児童も多くなるほどであり、今後は保育所の収容人数の増加、施設増設がますます求められます。
保育所はまだからがしっかりしていない幼児を預かっており、アレルギーやぜんそくなどの持病を抱える子どもも増えています。
そこで、看護師が保育所に就き子どもの健康を管理することが強く求められています。
小学校入学前の子どもたちが過ごす保育所では、子どもが怪我をしたり疾患した場合に看護師が手当てを行い、症状が重い場合は病院へ同行します。
また、体調を管理し場合によっては保護者への連絡や説明を行うことも看護師の大切な仕事です。
子どもの場合は自分の症状を的確に伝えられないことも多いので、子どもの様子を見て症状を認識できるような観察力が保育所看護師に求められます。
このように大きな役割を担う保育所看護師ですが、実際に看護師が赴任している施設は全体の3割程度です。
介護施設で働く看護師
介護施設で働く人の多くは介護士ですが、看護師にも活躍の場があります。
介護士は入居者の身の回りの世話(トイレ、食事、入浴など)を担当していますが、健康管理についてはエキスパートではありません。
ある程度の専門知識を持った介護士もいますが、一般的な医療に関わることは看護師が担当します。
介護施設看護師は入所、通所している方々の全体の健康管理を行います。また、治療が必要な場合は病院への同行を行います。
また、嘱託医師が一定の頻度で施設を訪問することもあります。
保育所・介護施設で注意するポイント
保育所・介護施設は体力的に十分ではない人がたくさん集まります。
そこで、最も気をつけることは「感染症の発生」です。
ノロウイルス、インフルエンザなどは施設内で一気に感染し、高熱や下痢、嘔吐の症状を起こします。
特に、体力が低下している高齢者が感染すると重症に発展する可能性も高いため、看護師が適切にケアを行うことで事態を迅速に収拾することができます。
病院勤務のイメージが強い看護師ですが、このような背景から保育所・介護施設での需要は年々増加しています。
このような立場の人は看護系技官と呼ばれ医療や福祉に関わる様々な課題に取り組みます。
厚生労働省や総合研究所での勤務
ほとんどの看護師には縁が薄い場所ですが、看護師の勤務先として厚生労働省や総合研究所があります。
特に、厚生労働省で勤務する看護師は「看護系技官」と呼ばれ、私たちがイメージする看護師とは大分変ってきます。
看護系技官とは
看護系技官とは主に厚生労働省本省内部部局に配属となり、看護行政等の業務に従事します。
配属されるには厚労省の募集に応募して試験を受け、合格する必要があります。
更に、だれでも受験できるわけではなく免許の他に、一定の勤務経験が求められます。
以下は、2009年度に実際にあった募集要項から条件を抜粋したものです。
(1) 看護師免許と保健師免許又は助産師免許を取得している者
(2) 看護系大学を卒業している者又は看護系大学院修了(見込みを含む)の者
(3) 看護に関する業務経験を5年以上有する者
(4) 看護行政の業務に理解を示し、意欲のある者
これより、看護系技官は一定の経験を積み看護の実態を良く理解し、変革していこうという姿勢のある人が向いていることが分かります。
仕事内容と配属について
看護系技官は、看護職員の確保、生活習慣病対策、訪問看護の推進、診療報酬や介護報酬の改定などを行っていきます。
それぞれの課題は、厚生労働省内の各担当部署が受け持っていますが、看護系技官は、各部署に少数ずつ配属されています。
それぞれの部署には「医系技官」と呼ばれる医師免許を持った職員や、事務職である「事務官」が属しており、協力して制度の設計や改善案を考えていきます。
例えば、ある健康問題についての法制度を作るときは、それを作成するための準備として、様々な下調べをします。そして、その分野の専門家や病気を持った当事者など、それぞれの立場の意見を聞きながら、どのような制度が必要かを考え、案を作っていきます。
また、国会議員に対して現状を詳しく説明することや、学会や研修会などで政策を説明する、という仕事もあります。
国民の医療や福祉のために、問題を分析できる能力、また多分野に根強く説明をしたり、調整を行う粘り強さ、看護以外の専門職と協力して働ける協調性や柔軟性が求められます。
総合研究所で働く看護師
大学で看護学を専攻し、削ぐ業後に総合研究所に就職して活躍する看護師もいます。
総合研究所とは、調査や研究を行う会社であり、看護職で培った知識と研究手法を用いて、患者や家族、医療関係者へのアンケート調査・インタビュー調査を実施し、分析・報告の作成などを行います。
看護系大学などの研究者や省庁と一緒に研究を実施することもあります。
個々で働く場合は、医療制度や病気の知識などの幅広い知識と共に、統計手法など、研究の知識も必要になります。また、社会全体の幅広い知識も問われます。
独立起業するという選択肢
看護師の中には仕事から得られた知識をもとに会社を興す人もいます。
これまでの医療保険サービス以外の分野で活躍する人もおり、患者や住民が必要なものをひらめくアイデアや行動力が、看護職の可能性を広げることになります。
訪問看護ステーション・健康管理会社の設立など幅は広い
看護師が企業する中で、最も多いものは「訪問看護ステーション」を開設することです。
訪問看護ステーションは、看護職員(保健師、看護師、准看護師)の常勤換算2.5名以上(うち、1名は常勤)で解説できます。
地域にも依りますが、介護部門や老人保健施設など、その地域に必要な様々なサービスを作り出していくこともできます。
医療・福祉・行政が連携し、地域のサポート体制をつくっていく役割を担うことができます。
また最近では、健康相談や血液検査など、健康関連分野の会社を興す看護職も出てきました。
なお、同じ医療関係者として薬剤師がありますが、薬剤師は製薬会社のMR(Medical Representative)が病院などとコネクションを作り、調剤薬局を起業するケースが多いです。
医療関係者は特化したスキルを持っているため、色々な可能性に満ちているといえます。
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